読売新聞 :「現代の名工に浅野さん」
指物師、大仏師として高評価
卓越した技能を持つ「現代の名工」に、県内からは黒部市生地経新の家具工業社長で指物師、浅野博さん(74)が選ばれた。浅野さんに喜びの声を聞いた。
木の仮を組み合わせて仏壇や神棚、タンスなどを作る指物師の実騨こともに、大仏師としても高い評価を受けた。「大変驚いたか、
技術を認めていただき、うれしい。技術を次の世代に伝えて恩返ししていきたい」と喜びを語った。
先代の父恵長さんが、戦後1945年に、家具の製造販売を始め、ちょうど生地地区に疎開していた東京や大阪の指物師が店に集
まってきた。当時10歳だった浅野さんは、自然に店を手伝うようになり、「一流の指物師についての修業が家で始まった」と振り返る。
指物のほかに、元々好きだったとく仏像を作るため、1975年頃から京都の仏師、松久朋琳、宗琳親子に弟子入りして修業を積んだ。2004年には、第1回全国仏壇仏具振興会コンテストで、出品した観音像と、富山の浜黒崎の松で作った仏壇が、最高位の白金賞を受賞した。
また、03年には木曽ヒノキを素材にした木製ベッドを作るなど
常に新しい作品も生み出し続ける。現在も、県産材の立山杉を使って現代の家にも合うような仏壇の製作に取り組む。
「修業をつらいと思ったことはない。職人の世界は、黙って50年仕事して、その結果が300年後まで残るもの。これからも走り続けていかないと」。製作意欲は衰えることはない。
(読売新聞 2009年11月10日掲載)